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抗精子抗体
精子はそれを生産した男性の身体にとっては‘異物,となります。なぜなら精子の染色体数は正常(n=46)の半分(n=23)だからです。精子と血液が接触することにより、抗精子抗体産生を伴う免疫反応が始まります。従って通常、精子形成は精巣すなわち‘免疫学的バリア,の中で行われます。しかし、一部の男性では、精子あるいは精子成分がこのバリアから漏れ出て、抗精子抗体の産生を刺激してしまう場合があります。産生された抗体は精液中に入り精子を‘攻撃,します。顕微鏡で観察すると、抗精子抗体が精子を凝集させ運動能が低下することがわかります。従って不妊となる場合があります。精子の刺激により一旦免疫系が賦活化されてしまうと、そのプロセスを元にもどすのは困難です。しかし、高用量のコルチコステロイド剤の使用で、抗精子抗体の量を減少させて一時的に生殖能力を回復できることもあります。
このような免疫学的な要因が、原因不明不妊症カップルの40%近く、原因不明男性不妊の10%にみつかっています。
女性の頸管粘液に抗精子抗体がある場合も、そのカップルは不妊症となります。多くの場合問題は、男性の自己精子に対する抗体産生です。
精管切除術を受けた男性のほとんどで循環血中の抗精子抗体が認められ、精管再建手術後にも抗体はしばしば認められます。
片側性あるいは両側性の精路障害(先天性または後天性)、精巣上体炎および精索静脈瘤も精子に対する自己免疫反応を伴うことがあります。
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